設計士の自宅マンションリノベ日記設計士
2022.02.25
設計士の自宅マンションリノベ日記vol.5~設計編②~
「設計士の自宅マンションリノベ日記vol.5 ~設計編②~」
弊社若手設計士の自宅マンションリノベ日記を連載ブログです。
筆者がその設計士です。
このブログでは、マンションリノベを実際に進めながら設計者目線での注意点や失敗談など、赤裸々に、堅苦しくない形でつづっていこうと思います。
マンションリノベを考えておられる方、興味がある方に少しでも参考になればと思います。
5回目の今回は、「設計編②」として、設計序盤で大事になってくる「床」についてです。
ちょっと前置きをすると、、、
マンションリノベをご経験の方や検討中の方は、
一度は耳にしたことがあるかと思います「LL-45」とか「⊿L-45」。
これは遮音性能といって、「下の階の人に配慮して床材選んでください」というようなマンション内の決まりです。
ほとんどのマンションでこの決まりがあります。
そしてこの決まりをどうやって守るか、ということがマンションリノベの序盤の山場になってきます。
まず、一般的なマンションの床の施工方法は、大きく分けて「2重床」と「直貼りの床」という2種類に分かれています。
↑このような感じでコンクリートのスラブといわれる構造体の上に、
少し空間を取ってフローリングを貼るのが「2重床」。
スラブの上に直にフローリングを貼るのが「直貼りの床」です。
お住まいのマンションやこれから購入されるマンションは、ほぼこの2パターンのどちらかに分類されていると思います。
住んでいてそんなことを気にする方はほとんどいないと思いますが、この違いがマンションリノベでは大事になってきます。
次に、それぞれどのように遮音性能を守りながらリノベーションするのか。
それがこちら↓
分かりやすくお伝えするために、少し情報は偏っています。
別のやり方もありますし、状況によっては当てはまらないケースもあります。
その辺りはご了承ください。
ざっくりまとめると、
「2重床」= 好きな床材を選べる
「直貼りの床」 = 床材を選ぶのに制限がある
ということになります。
ちなみに、多くのマンションが「直貼りの床」です。
つまり、マンションリノベーションでは、多くの場合、ある程度フローリング選びに制限があるということになります。
それでも「直貼りの床」だけど好きな床材を選びたいという方は、
それはそれで方法はありますので、ぜひお近くの工務店or設計者まで相談してみてください。
(下記QAの2に少し記載しています。)
ここで僕の話ですが、僕はしっかり失敗しました。
購入前は踏み心地から「2重床」だと思っていましたが、契約後に竣工図を見てみると、「直貼りの床」だと判明。
設計者のくせに、情けない限りです。
決してこの床問題だけで、物件の選択を間違えたとは思いませんが、あんな床材使ってみたいなーと思っていたものがあったので、そこは残念でした。
実際に僕がどんな床材を使ったかは、また別の回に書ければと思っています。
ということで、見た目にわからないし、不動産売買では説明してくれないのに、リノベの設計が始まった途端、最重要くらいの勢いで厄介になってくるこの問題。
しっかりとお伝えしたいのですが、僕の文章力ではうまく説明できた気がしないので、
「2重床」「直貼りの床」の比較について、自問自答Q&Aにしてみました。
今回のブログの最後にぜひ読んでみてください。
Q1:工事費的にはどちらが安い?
A1:「2重床」の下地(束など)をやり替えずに済むのであれば、「2重床」の方が安いです。ただしフルリノベともなると多くの場合、下地までやり替える必要が出てきます。なので、体感としては「直貼りの床」の方が安くなるケースが多い気がします。
Q2:好きな床材を選ぶには「直貼りの床」では無理?
A2:全く無理な訳ではありませんが、「2重床」の方がやりやすいです。
「直貼りの床」の場合は、基本的に遮音性能のクッション付きフローリングの中から選びます。ただ種類が豊富にあるとはいいがたい状態です。
それ以外の方法だと、遮音マットというものを施工してから床材を仕上げるという方法がありますが、これだと好きな床材を「直貼りの床」でも実現できる代わりに、床の高さが合わないなどの技術面やコスト増などの問題が出てきます。
Q3:購入前に判断できる?
A3:僕が間違えたので偉そうには言えませんが、踏み心地でなんとなくは分かります。僕の上司の方々は一回目の現調で、ほとんど正解を出されます。
ですが確実なのは「竣工図」を確認することです。購入時のパンフレットに記載されている場合もあります。
ただ、そもそも論ですが、僕は「2重床」「直貼りの床」は気に入ったマンションを購入した後に、一喜一憂すればよいものだと思っています。
物件選びの段階では、それ以外の条件の方が優先順位が高いと思います。
Q4:断熱性能に違いはある?
A4:ないとは言い切れませんが、上下階に住戸がある場合は特に気にしなくてもいいと思います。例えば1階の住戸や、2階だけど直下がエントランスや駐車場の場合は、床下の断熱性を考えた方がよいので、「2重床」の方が工事の上でメリットがあると思います。
大体こんなところでしょうか。
もしその他にも疑問に思うことがあれば、お気軽にご連絡ください。
では今回は長くなりましたが、この辺りにしようと思います。
また次回もよろしくお願いします。