設計士の自宅マンションリノベ日記設計士
2022.03.04
設計士の自宅マンションリノベ日記vol.6~設計編③~
「設計士の自宅マンションリノベ日記vol.6 ~設計編③~」
弊社若手設計士の自宅マンションリノベ日記を連載ブログです。
筆者がその設計士です。
このブログでは、マンションリノベを実際に進めながら設計者目線での注意点や失敗談など、赤裸々に、堅苦しくない形でつづっていこうと思います。
マンションリノベを考えておられる方、興味がある方に少しでも参考になればと思います。
6回目の今回は、「設計編③」として、間取りについて書こうと思います。
間取りといっても幅広いので、その中でよく質問を頂くことに絞って書きます。
その質問は↓
「キッチンとかってあんまり動かせないんですよね?」です。
回答としては、
キッチンに限らず、水廻り(トイレ、お風呂、洗面台など)は位置の変更がしにくいのは事実です。
変更しにくい主な理由は、排水経路が取れないからです。
排水経路とは、各排水口(キッチンならシンクの下、トイレなら便器の下)からパイプスペース(PS)までの経路を言います
排水管は、水を自然の力で流す為、排水口からPSまで勾配を付けて設置されています。
つまり、PSから排水口までが離れれば離れるほど、勾配を取る為に床下空間を高くする必要が出てきます。
その為、水廻りの位置を変更するには、多かれ少なかれ弊害が生まれてくることになります。
例えば、
「どうしてもキッチンをPSから離れた位置に設置したい!」
「それ以外の条件はなんでもいい!」
と希望した場合、こんなことになったりします。(実際はありえません)
「水廻りってどれくらい動かせるの?」というご質問は回答が難しく、
現地調査をしたり、竣工図を確認したり、さらには工事が始まって解体してみないとわからないなんてこともあります。
ちょっと脱線ですが、工事部長が現場で教えてくださる言葉に、
「民間人が月に行く時代や。できないことはないねん。ただホンマにやるんか?や。」
というのがあります。
水廻りの話はまさにこの金言通りで、好きな間取りに合わせて水廻りを自由に配置することは出来ますが、天井高さやコスト増などのデメリットが出てきます。
そのデメリットと比較して、現実的に本当にやるのか、という検討が必要になってきます。
まとめると、マンション毎に、配管計画や床下の状態は様々です。
一概に言えるのは、水廻りの位置は極力変えない方が施工上、コスト上有利になります。
でも、いい間取りを作る為であれば、位置の変更は検討すべきです。
メリットとデメリットをきちんと比較して、一番よいところを探す作業を、リノベの設計期間に行っていきます。
ここで僕の場合ですが、工事費を抑えたくて、設計当初から水廻りの位置はほとんどそのままにしました。
ただ、キッチンだけはどうしても変えたかったので位置を変えることにしました。
竣工図を見ると、キッチンの下は配管の為に2重床になっていたので、これはいける!と踏んでの計画でした。(2重床については前のブログで解説しています)
しかし残念ながら、解体してみると、ご丁寧に2重床をたっぷりのモルタルで埋めてありました。
つまり配管をやり替えるスペースが床下にない状態でした。
溜息が出ますが、解体後にこういう残念なことは多々あります。
何とか上司に助言を頂き、多少の計画変更で排水管を納めることが出来そうですが、解体後の予想外の光景は悲しいものでした。
といったところで、間取りを決める際の「水廻り」について書いてきました。
間取りについては、もうちょっと平面計画的なことも書こうかと思ったのですが、間取りの好みは人それぞれだと思うので、やめておきます。
次回は、間取りが決まった後の設計ってなにするの?的なことを書く予定です。
あとブログを読んでいて、「そうじゃないパターンもある」と思われる方もおられると思います。このブログは多少脚色を加えていますので、参考程度にお読みください。
では、またよろしくお願いします。