woodニュース
2021.05.21
木を活かす~木の特性を知る~
今回は、木造住宅の要である『木のお話』をさせていただきます。
以前お話させていただいたように、えびす工務店では在来軸組構法の木造住宅を手がけております。
在来軸組構法とは、日本古来の伝統構法の大工さんに頼っていた部分を簡素化(筋交いの設置や、接合部を仕口や込栓みから金物にするなど)し、発展させたもので、木造住宅のうちの7割を占める構法です。
実は、伝統構法は確認申請に1年以上もかかることもあり、施工している工務店はごくわずかです。
・仕口、込み栓の数々
・込み栓施工例
・金物施工例
伝統構法を発展させた在来軸組構法ですが、当然のごとく構造材(土台・柱・梁)は構造の要となります。
構造材について、戎工務店では土台は檜、柱と梁、床や一部天井には天然葉枯らし乾燥の杉を使っています。(別途県産材仕様有り)
ワタクシ共が数ある木の中で、何故杉を使っているのかと言いますと・・・
・ 森林が国土の7割を占める日本の大きな資源で、その大部分を杉が占めること
・ 自然の良さを生かし、あまり手を加えず(低生産エネルギー)使えること
・ 粘り強く腐りに強いこと(徳島杉はもともと船材用)
・ 杉は熱伝導率が低く熱を奪いにくいため、温かい暮らしが実現できること
・ 調湿性があり、体感温度を上手くコントロールしてくれること
・ 杉の香りは大変優しく、木目が安らぎを与えること
など、大変良い点があるからです。
その反面
・ 傷がつきやすく、濡れたまま放置すると染みになること
・ 調湿するので湿度によって伸縮すること
・ 木目や節など、均一なものは存在しないこと
などのデメリットと感じられる点もあります。
物事には必ず良い面と悪い面がありますので、それを勘案したうえでも良さの方が大きいと感じ、杉材を使っています。
そして木の事を勉強すればするほど、その良さを最大限に生かすためには、乾燥に充分な配慮をしなければいけないことが分かったのです。
そのことを教えてくださったのが、山主で林業家、製材所でもあるTSウッドハウスさんでした。
そしてその木を最大限に生かす方法が、高温や中温乾燥でなく、山での葉枯らし・土場での桟積みによる昔ながらの天然葉枯らし乾燥です。